1 よくある後遺障害
交通事故における後遺障害等級は、損害賠償額を算定するための資料として決定されます。
そのため、1級から14級、そして等級ごとにさらに細かく〇号~〇号というように類型化されています。
これらの類型にあてはまらない症状は、基本的に、交通事故の後遺障害等級としては認定されません。
交通事故の後遺障害等級の類型に当てはまる代表的な症状や傷病名として、例えば、以下のものが挙げられます。
- 神経症状(むち打ち損傷後の痛みやしびれ、骨折部位の痛み)
- 骨折後の関節可動域の制限(手首や足首の可動域が狭くなったなど)
- 骨折後の偽関節
- 骨折後の変形障害
- 外貌醜状(顔などに傷跡が大きく残ったなど)
- 複視、視力低下など
- 脳外傷後の高次脳機能障害
- 脳外傷後の身体性機能障害(神経麻痺)
- 脊髄損傷
- 外傷性てんかん
- RSD(反射性交換神経性ジストロフィー)・カウザルギー
- 非器質性精神障害(うつ病・PTSD)
- 脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症、低髄液圧症)
2 後遺障害等級と損害賠償
後遺障害等級が認定されると、損害賠償額が高額になりますので、いずれのケースも保険会社との間で金額に関する見解の相違が大きくなります。
最近では、医学的に注目されていることと相俟って、高次脳機能障害や脳脊髄液減少症のケースが問題となることが非常に多く、解決までにさまざまな法的問題をクリアしなければなりません。
具体的には、事故との因果関係、障害の程度や内容、後遺障害等級の妥当性、等級認定後の損害賠償金の妥当性などが問題となります。
交通事故の賠償問題は、弁護士に依頼して解決すべきですが、後遺障害等級が認定された事案では、安易に示談すると被害者の方の損失が大きくなってしまうため、よりいっそう弁護士による正しい解決が求められます。