高次脳機能障害

1 高次脳機能障害とは

脳挫傷等による高次脳機能障害は、自動車事故などで脳が損傷されて、一定期間以上、意識が障害された場合に発生し、CT・MRIなどの画像診断で脳損傷が認められます。

脳の機能のうち、知覚や運動より得られた情報を連合することで発揮される高度の機能(認知、言語、記憶、行動・遂行、情動・人格など)に障害が生じ、記憶・記銘力障害、集中力障害、遂行機能障害、判断力低下、多弁(饒舌)、自発性・活動性の低下、病的嫉妬、被害妄想などの人格変化を発症します。

また、これらの症状と同時に、神経麻痺などを伴うこともあります。

 

2 高次脳機能障害の後遺障害等級

後遺障害等級認定の基準は、高次脳機能障害を「脳の器質性精神障害」と位置付けており、労働能力を100%喪失し、常時介護・監視を必要とするものを1級、同じく随時介護・監視を必要とするものを2級とし、以下、3級、5級、7級、9級(事案に応じて、さらに12級、14級)で評価されます。

損害保険料率算出機構の「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて」によれば、労災保険の認定基準を補足するものとして、下表の考え方に基づき、高次脳機能障害の認定を行っていくことが必要とされており、自賠責保険の実務上もこの考え方が基本となっています。

具体的な審査にあたっては、通常用いられる後遺障害診断書のほか、主治医の意見書、家族による日常生活状況の報告書など特別の資料を用い、神経心理学的検査(知能検査、記憶検査、遂行機能障害の検査など)の結果などと併せて総合的に検討されています。

このうち日常生活状況の報告書にはフリースペース欄がありますので、できる限り具体的に被害者の方の日常生活における支障などを記載することが重要です。

 

【高次脳機能障害の等級認定基準】

後遺障害
(自賠)
自賠法施行令 具 体 例
別表第1
1級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回りの動作に全面的介護を要するもの
別表第1
2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人では外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。
身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
別表第2
3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また、声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶力や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
別表第2
5級2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
別表第2
7級4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
別表第2
9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

 

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