後遺障害申請手続を弁護士に依頼するメリット

1 弁護士の「被害者請求」による後遺障害申請手続

症状固定後も痛みなどの症状が残っている場合は、後遺障害申請を行います。

後遺障害の申請は、主治医に後遺障害診断書を作成してもらった後、相手方の保険会社に一任して行う方法(事前認定)と、被害者自らが自賠責保険会社に申請する方法(被害者請求)の2つの方法があります。

弁護士が依頼を受けていない案件の後遺障害申請は、そのほとんどが事前認定で行われているようですが、弁護士に依頼していれば、必要な証拠資料を整えた上で、中立かつ透明性のある被害者請求の方法で後遺障害申請を行うことが可能です。

 

2 後遺障害申請手続の流れ(被害者請求)

  1. 後遺障害診断書の作成
  2. 必要に応じて、陳述書や意見書の作成、医療照会の実施
  3. 自賠責保険会社へ書類提出
  4. 損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所での後遺障害調査
  5. 自賠責保険会社からの結果の通知、自賠責保険金の受領

 

3 後遺障害診断書作成上の注意点

症状固定に至ってもなお後遺障害が存在する場合、後遺障害診断書の用紙を主治医の先生に渡して記載をお願いします。

後遺障害診断書の記載は、後遺障害の等級(1級~14級)を決める上でとても重要な資料になりますので、どのタイミングでどのような内容を書いてもらうかが大切です。

後遺障害診断書の記載事項で、よく問題となる項目は、主として以下の4つです。

当事務所では、後遺障害診断書を作成する医師に、説明書や注意事項を書面で交付することにより、以下の点を踏まえた後遺障害診断書を作成してもらっています。

 

①「自覚症状」の欄

むち打ち損傷等により頚部、腰部、手足などに痛みやしびれなどの神経症状が残った方については、「自覚症状」欄の記載が非常に重要です。

本来は症状があるのに、その症状が記載されていないと(例えば、頚部痛のほか腰痛もあるのに、腰痛に関する記載が漏れている場合)、その症状(腰痛)は「存在しないもの」あるいは「治癒したもの」として取り扱われます。

この場合、当然のことながら、記載漏れの症状について後遺障害等級は認定されません。

したがって、とくに痛み、しびれなど自覚症状を複数有する方は、病院の先生に、できる限り詳しく、漏らさず症状を記載してもらうことがとても大切です。

 

②「他覚症状および検査結果」の欄

「他覚症状および検査結果」欄には、文言どおり、「他覚症状」、すなわち、画像(レントゲン、MRI、CT)上の所見を記入する必要があります。

後遺障害申請を行う際、自賠責保険会社や自賠責損害調査事務所に対し、治療中に撮影した画像をCD-Rなどで提出します。

後遺障害の調査時に、専門の担当者らは、提出された画像を精査しますので、後遺障害診断書の中で、画像上の所見について多少の記載漏れ(言及漏れ)があったとしても、それのみで直ちに「所見なし」ということにはなりませんが、やはり、主治医の診断はとても重要です。

したがって、画像上の所見についても詳しく書いてもらう必要があります。

 

③「関節機能障害」の欄

「関節機能障害」欄には、例えば、右手首骨折後、骨は癒合したものの、右手関節が曲がりづらくなった場合、左右の手について関節の可動域(曲がる角度)を記載することになります。

後遺障害の等級は、左右の関節の可動域を比べてその差に基づいて決まります。

右手首骨折の場合でいえば、左手関節の可動域と右手関節の可動域を比べることになりますが、測定時に、左手関節をしっかりと曲がる範囲だけ曲げないと、右手関節の可動域との「差」が小さくなるため、後遺障害が非該当になったり、軽度の等級になったりしてしまいます。

また、怪我をした右手関節についても、無理をして必要以上に曲げてしまうと、「よく曲がる」ということになってしまいます。

あまり意識しすぎる必要はありませんが、原則として測定し直すことはできませんので、上記のような理屈を知っておく必要があります。

 

④「障害内容の増悪・緩解の見通し」の欄

後遺障害診断書の右最下部に「障害内容の増悪・緩解の見通しなどについて記入してください」と記載されていますので、医師は、この欄に、患者の症状に関する今後の見通しを記載することになります。

通常は、「症状固定と考える」とか、「緩解の見込みはない」などと記載されますが、原則として、この欄の記載が後遺障害等級の決定的要素になることはありません。

もっとも、推測になりますが、むち打ち損傷などで、後遺障害14級が認定されるかどうか微妙で、おそらく当落線上にあると思われる事案について、この欄に、「少しずつよくなる」といった趣旨の記載があると、ときに、等級判断の理由中に「『少しずつよくなる』という記載もあることから、将来においても回復が困難とはいえない」という形で指摘、引用され、非該当の理由の一つとなってしまうことがあります。

本当に「少しずつよくなる」のであれば、その記載でもよいとは思いますが、見通しが不明なものについては、そのようなニュアンスの記載はできれば避けたいところです。

 

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