1 死亡事故のご遺族の方へ
当事務所では、死亡事故の事案も対応しています。
死亡事故の事案では、被害者の方がお亡くなりになっているため、事故の目撃者がいない場合、被害者側に有利な証言をすることができず、事故状況や過失割合が争点となることが数多くあります。
目撃者がいない事案であっても、実況見分調書などの刑事記録を取り寄せることで、証拠を積み重ねて、ご遺族の方にとって有利な解決を導くことは可能です。
当事務所は、交通事故のご相談については初回無料です。
「おかしい」「納得できない」という皆様の直感に対して、適切なアドバイスを差し上げることができると思いますので、まずは、そのお気持ちをお聞かせください。
2 解決事例
事例-死亡事故
賠償金0円から自賠責保険の効果的利用により約2500万円へ
依頼者30代男性(ご遺族の方)
ご相談内容
母親がオートバイ運転中にトラックに後方から跳ねられて、転倒し、亡くなりました。
警察では、自動車運転過失致死という罪名で、トラック運転手に対する捜査が進みましたが、結局、交通事故の発生原因について、検察官曰く、「被害者の運転ミスが主たる原因と言わざるを得ない。公判においてトラック運転手の過失を立証できない」ということで、証拠不十分=不起訴となりました。
母親はオートバイに乗り慣れていましたし、事故に遭った道路はいつも通っていた道です。
このような場所で、運転ミスをするとは思えません。仮に、何らかのミスがあったとしても、母親にすべての過失があるというような認定には納得できません。
民事で何らかの解決をすることはできないでしょうか。
ご依頼後
ご依頼を引き受けた後、刑事記録などを全て取り寄せ、検証を進めましたが、目撃者などがおらず、被害者の方にとって有利な事実関係を認定するに足りる証拠はない状況でした。
加害者もその任意保険会社も、自らの過失は0というスタンスであったため、任意保険に一切対応してもらうことができず、交渉は平行線を辿りました。
しかしながら、自賠責保険制度に着目し、これを突破口とすることに成功しました。
すなわち、自賠責保険の被害者請求制度は、被害者が自ら証拠を揃えることで、加害者と協議せず、直接、自賠責保険に請求をかけることができます。
そして、被害者に比較的大きな過失があっても、70%以上の重過失でない限りは、自賠責保険金が過失相殺によって減額されることはありません。
また、自賠法の趣旨に則り、被害者側の過失の認定にも非常に慎重な立場をとっています。
これらの要素をもった被害者請求制度を利用し、立証資料として、刑事記録のほか、事故状況や過失の認定に関する弁護士の意見書も提出するなどしました。
その結果、自賠責保険(実質的には、損害保険料率算出機構)から「事故の状況に照らし、証拠を検討しても被害者の過失があったと認定するに足りない」という判断を受けました。
これにより、自賠責保険では過失相殺による減額が一切なく、被害者無過失の死亡事故と同様の保険金(約2500万円)を獲得することができました。
弁護士のコメント
自賠責保険の被害者請求制度は、最近では一般に後遺障害申請の一手段として知られています。
しかしながら、自賠責保険における保険金支払は、任意保険会社から受け取る損害賠償金とは異なり、やや特殊な基準や運用があります。
通常は、任意保険会社が自賠責保険の限度額分も含めて損害賠償金の支払いを行うため、自賠責保険の被害者請求制度が大きくクローズアップされることはありませんが、制度の内容、特殊な基準や運用をしっかりと理解して、制度を効果的に利用することで、比較的高額の補償を獲得できることがあります。
本件で、ご依頼者様は、民事の場面で再度チャレンジし、加害者側の自賠責保険から損害賠償金を獲得することで(なお、実際には、その後、民事訴訟を提起しました。)、刑事事件における不満をある程度払拭できた、母も天国で少し喜んでいると思うと仰っていました。