過失割合に納得できない方へ

1 過失割合を理解する

過失割合とは

過失割合症状固定後または後遺障害等級が確定した後、保険会社との間で損害賠償金について示談交渉を行います。このときに重要となるのが、「過失割合」です。

過失割合とは、交通事故が発生した原因について、どちらの当事者にどのくらいの責任(過失)があるかを割合で示したものです。

一方の車両が停車中に、他方の車両が後方からぶつかった場合(いわゆる「追突事故」)においては、通常、被追突車:追突車=0:100となります。

いずれの車両も動いているような事案では、0:100になることは少なく、当事者双方に一定の割合の過失が認められます。

交通事故により怪我をした被害者に、一定の過失が認められると、損害額全体から、その過失割合分が減額されてしまいます。

例えば、過失割合が被害者:加害者=0:100であれば、損害額全額が請求できますが、過失割合が被害者:加害者=30:70である場合、損害額全体の30%が減額されることになります。

 

治療費等の既払い金を含む全体が過失相殺の対象

さらに重要となるのが、治療費等の既払い金も過失相殺の対象となるということです。

通常、被害者に一定の過失、例えば30%の過失があっても、保険会社は治療費については、毎月、医療機関から保険会社に請求が来るため、その70%だけを支払うのではなく、一旦100%を支払います。

つまり、示談交渉の結果、被害者に30%の過失があることが決定した場合、既に支払われた治療費のうち30%は、保険会社が支払過ぎた(立て替えた)ことになります。

仮に、治療費が200万円(すでに保険会社が全額を医療機関に支払済み)、慰謝料等が800万円、総損害が1000万円であると仮定します。

被害者:加害者=0:100の場合、総損害から既払い金を控除した金額、すなわち、1000万円-200万円=800万円を請求することが可能です。

これに対し、被害者:加害者=30:70の場合、被害者の過失割合は、慰謝料等の部分800万円のみに掛かるのではなく、総損害である1000万円に掛かることから、1000万円から、その30%である300万円を控除し、さらに、既払い金200万円を控除する必要があるのです。

したがって、1000万円-300万円(過失相殺による減額)-200万円(既払い金の控除)となり、被害者は保険会社に対し500万円しか請求できません。

治療費等の既払い金が大きければ大きいほど、示談交渉の場面で、過失割合が損害賠償金に与える影響が大きくなります。

 

2 自動車事故の過失割合の決まり方

交通事故に強い弁護士被害者の方にとって自分の過失割合がいくらになるかということは、請求できる損害賠償金に大きな影響を与えますが、この過失割合については、一定の基準があります。

現在、裁判所などで広く利用されているのは、判例タイムズ社という会社が発行している「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」や、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」です。

これらの文献には、自動車と自動車の事故、自動車と二輪車の事故、自動車と歩行者の事故など事故の当事者ごとに場合分けされていて、事故の態様に応じてそれぞれの当事者の過失割合の基準が書かれています。

 

3 過失割合の修正要素に注意する

基本的には、どのような事故も、上記の文献に記載されていますので、文献に基づいて基本的な過失割合は決まります。

しかし、勿論例外もあります。

例えば、文献で紹介される事故類型のいずれに当てはまるか争点となる場合があります。

また、当事者の一方が脇見運転をしていたり、速度違反や居眠り運転、携帯電話を所持して運転していたりした場合には、その当事者の過失割合を高く評価する必要があります。

このような場合には、事故類型ごとに定められる基本的な過失割合を修正することになります。修正要素が複数ある場合には、基本的な過失割合が大幅に修正されることもあります。

基本的な過失割合に固執することなく、刑事事件の記録(実況見分調書)なども取り寄せて、事故状況を十分に精査して、修正要素がある場合にはしっかりと法的根拠を固めて適切な主張立証を行うことが非常に重要となります。

 

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当事務所は、過失割合が問題となる事案について、豊富な知識と経験を有しています。

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