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症状固定と後遺障害

2024-06-21

これまで、交通事故のコラムでは、治療中の諸問題について話をしてきましたので、今後は、症状固定以降の法律問題に触れていきたいと思います。

 

「症状固定になったら、後遺障害の申請を行う」という点については、被害者の方にある程度、周知・理解されていますが、この「症状固定」という概念は、医学上の用語であると同時に、法律上の損害賠償金を決定する上で、非常に重要な意味をもちます。

 

1つ目は、症状固定以降の損害は、原則として、後遺障害等級が認定された場合のみに、賠償の対象となる、ということです。

症状固定以降の治療費、休業損害、交通費等は、損害賠償の対象となりません。

裏を返すと、症状固定後に後遺症というべき症状が残っていても、等級が認定されなければ、基本的に、症状固定時点で治癒したのと同じ評価を受けることになります。

ときどき、保険会社の担当者が、「今後は、通院するのであれば、健康保険で通院してもらえますか。領収証を保管してくれれば、慰謝料で考慮します。」といって、症状固定を巧みに迫ることがありますが、上記のとおり、症状固定以降の治療費は原則として賠償の対象になりませんので、治療の必要性があるのであれば、簡単には、症状固定としてはいけません。

 

2つ目は、通常、事故日から6か月程度、継続して通院していないと、後遺障害申請を行っても、等級に該当しないことが非常に多い、といえます。

言い換えれば、半年以上症状が残っていてはじめて、審査の対象となるといっても過言ではありません。

明らかに症状が残っていて、今後も完治しないような場合には、後遺障害の申請を念頭に入れた上で、医師にも相談して、しっかりと半年程度、リハビリを継続した方がよいといえます。

 

以上の2点は非常に重要です。

症状固定という概念は、法律上の損害賠償金を決定する重要な要素といえます。

 

浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平

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